図鑑④ 「組織は長の器を超えず」という格言は合っている
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中堅保険会社 N損害保険 どうしようもない社員が集まる品質管理部は同社の吐き溜め部署である。
所属する社員も課長もみんなダメである。当然品質管理部を率いる田辺部長も吐き溜め部長である。
N損害保険の主力商品は自動車保険と火災保険、どちらも毎年保険料の改定がある。
台風や豪雨などが多い年の翌年は火災保険の保険料は上昇するのだが、これは世の中の人は理解しやすい。
あまり理解されないのが自動車保険の保険料の改定である。
自動車保険の保険料の決定要素は本当に多数ある。
過去の契約者の事故の発生状況や運転者範囲などが保険料の上下に影響するのはよく知られている。
なかなか理解されないのが、①運転する人の年齢があがると保険料があがる=つまり高齢者になればなるほど(事故の有無とは関係なく)保険料は上昇する事、
②型式別料率といって事故が多い車の保険料は上昇する事(スポーツタイプの車に乗っている人は自身が事故をおこしていなくても保険料が上昇するようなイメージ)、この2点である。
自動車保険の保険料改定時期になると毎年「なんで事故もしていないのに保険料が上昇するんだ!」という苦情が多発するのはもはや恒例行事。
品質管理部は何とかしてこの苦情を減らしたい。
苦情を減らすのには保険料体系を見直しすればよいのであるが、そもそも保険料は統計に基づいて算出されているものである事、保険料は会社の収益に直結するものであり会社の戦略そのものであるため「苦情が発生するから保険料体系を見直しすべき」なんて話は通るはずもなく、品質管理部がそんな事を言おうものなら、それこそ吐き溜め部署のレッテルがより強くなるだけ。
それでも品質管理部としてはなんとか苦情を減らすのが使命。
そこで品質管理部の部員は一生懸命何とかできないか考える。
「保険料体系を変更することは当然できないが、そもそも自動車保険の保険料決定の仕組みは複雑なので 今以上に顧客に保険料の仕組みをご理解いただくような工夫をしていく事が必要なのでは」
もしくは「保険料が上昇してもN損害保険にはこんな魅力がある」という新たな何かしらの価値を提供していく、そういう方向で考えませんか、と品質管理部の部員は田辺部長へ提案。
しかし吐き溜め田辺部長は「保険料は社長以下全役員が出席の会議で決まっているのを知らないのか! 苦情があるからといって会社の上層部が全員集まって決めているんだから どうしようもないんじゃないか!」いきりまくる。
「だいたい会社内でどんなプロセスで保険料がきまっているのを知らないなんてどうしようもないな・・・」と。
「おれば社内の事情をこんなにも知っているんだ!」とここぞとばかりいきってくる。
「いやいや保険料体系を修正してくれ」なんて一言も言ってないし、それどころか保険料体系を修正できない前提で顧客のために何かできないか、会社のために何かできないか考えているのに。
さすが田辺部長 自身の事しか考えていないな、さすが吐き溜め部長だけあるな、、。
「組織は長の器を超えず」というビジネス格言があることをご存知だろうか。
会社は社長の器以上の大きさにはならない、品質管理部は部長の器以上の大きさにはならない、という事である。
品質管理部の部員がいくらよい事を考え提案しても品質管理部の部長である田辺部長がそのよい事を理解できなければどうしようない。
会社にいるとこの様な事例は枚挙にいとまがない。
社長が変われば会社は変わる、部長が変われば部は変わる、課長が変われば課は変わる。
どんな風に変わるのか、良くなるのか、悪くなるのか、「組織は長の器を超えず」を意識してその長を観察する必要がある。
そんな所属で働くのがストレスになるのであれば迷わず転職活動をお勧めする。
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